声なき英霊たちの想い

戦後半世紀以上が経過しているのに、未だに靖國問題と言われ、八月十五日になると首相が参拝するか否かで大騒ぎになる。世代も変わりつつあり若者の中には、どうして騒いでいるのかわからない人も増えてきたのではないかと思う。

世界どこの国に行っても、国家のために命を捧げた人を追悼する記念日や場所がありそして、国が大々的に式典を開催する。
しかし、日本はそれが70年近くも出来ない不思議な国である。
国のために命を捧げた人のお祀りをする事に、どうして議論が起こるのだろうか。
政治家や公の人は、公務上宗教的なことをしてはいけないなどと言っているが、
すなわちこれは日本文化を否定しなさいと言っているように聞こえる。
本来、日本を守って行かねばならない公の人達に、日本文化から遠ざけるような処置をしているのではないかとさえ思える。

そもそも日本の神道を一宗教法人と同じ扱いと考えることに、無理がある。
二千六百年以上続いてきた日本の神道は、日本そのものと言ってよい、そこから道徳や文化や芸術が生まれている。

アメリカでは大統領に就任するときは、聖書に誓う。裁判でも証言台に立つときは「嘘をつきません」と聖書に誓う。その神は言うまでもなく、キリスト教の神である。政教分離というのは、どの宗教を信心するのも自由です、それで公務員になれなかったりキリスト教を強制したりしません。という意味だ。
例えば、キリスト教徒でない人がアメリカ大統領になる可能性もあるわけだが、その場合も聖書に神聖を誓うのである。それが、政教分離といわれるものだ。日本の場合は、基準が個人の価値観になっているところに問題がある。その点アメリカは個人主義と言われても、公のルールが優先されていることが理解できる。

天皇陛下のご先祖は天照大神で、その御孫の神武天皇が橿原で即位してから125代今上陛下まで一本の糸で繋がっている。これを日本文化と言わずとしてなんと言うのだろうか。
つまり、公の立場の人が神社に参拝してはいけないとか、神社の作法でお参りしてはいけないというのは、日本を否定する事になっているのである。 大平正芳元総理はキリスト教徒だったが、お正月は伊勢神宮に、八月十五日は靖國神社に参拝している。これが公人として、そして日本人としての当然の礼儀作法である。

靖國神社や護國神社を否定的に捉える人の理由は、「戦意を高揚させる神社だから、戦争賛美になる。」とか「戦争を賛美するとまた戦争になる」とか、最近よく聞くのが「A級戦犯が合祀されているから」などだ。
現代の価値観で当時のことを語ったり判断してはいけない。
大事なのは、国のために命を捧げた人達の想いである。否定的な意見の中には、その人達のことを想う気持ちが感じられない。日本の防波堤になって散華された人達の想いを考え、そして感謝しながら静かに参拝するのが、後に続く者の使命ではないだろうか。

「戦争を賛美」という意見もあるが、日本人ほど争いを好まない民族はいないと言ってもよい。争いは好まないが、正義感や独立心は強い。正々堂々となるべく他人の世話にならずに生きていこうとする。危機に直面したらそれを放置したり、他人に委ねたりはしない、できる限り自分たちで対処しようとする。そして、自分のことより公を優先する。この考えがあったからアメリカも本土上陸作戦を断念し、昭和天皇の戦争責任を追及するのも断念したのだ。
これは、先人達が必死になって戦い、その戦いぶりにアメリカが恐れをなしたからである。
だから、現在を生きる我々は、当然のように慰霊と顕彰と感謝をしなければならない。
なぜなら、先人達のお陰で現在の日本があるからだ。

いわゆる「A級戦犯」と言われている人達は、昭和二十八年に日本の国会で「戦犯ではない」と決議されたのにもかかわらず、未だにこの言葉が使われるのもおかしい。当時、日本国のことを考えて一生懸命舵取りをしてきた人を、現代の価値観で犯罪者呼ばわりするのはあまりにも酷い。さらに死者にむち打つのは日本人として道徳的に疑問である。

古来より日本人は、人の気持ちを察することが得意な民族だ。
自分の気持ちを露わにせず、相手がどんな気持ちなのか一生懸命考えようとする。
それが外国人には、わかりにくいとか言いたいことを言わないなどと批判されることもある。しかし、私はこれが日本の美しい文化の一環で、日本人の優しさだと思う。無言でこの国の防波堤になった先人達。自分の気持ちを表に出さず、国のために散っていった人々、その先人達の気持ちを察したり想像するのが現代に残された我々の役目ではないだろうか。

その英霊に感謝するお祀りが八月十五日午前十時から執り行われ、その後当時の日本人がどんな思いで戦ったかを考える「英霊顕彰の集い」を行います。少しでも当時のことが知りたいと思われる方は「英霊顕彰の集い」にご参加下さい。我々と共に考えましょう。
詳細は、下記にて確認できます。

▼ 英霊顕彰の集い